私を変えたフラメンコとの出会い

子供の頃から体を動かすことが大の苦手で、映画や音楽を鑑賞したり、本を読んだりして静かに過ごすことが大好きでした。

あるときフラメンコのギター伴奏を生で見る機会があり、そのリズムに強烈に惹かれ、気が付けばその場でフラメンコの教室に通い始めることを決めていました。その時の衝撃と感動は今も忘れません。

日々の葛藤とスペインへの憧れ

レッスンに通い始めたものの、なにをやっても上手くいかず、出来るようになるまでに時間がかかる毎日でした。けれど、フラメンコに関わる時間が増えるにつれて、本場スペインへの憧れはどんどん膨らんでいきました。

フラメンコに触れてから5年後、長くスペインで活動されている方が一時帰国された際に、レッスンを受けられる機会がありました。同じ日本人でありながら、テクニック云々ではない、腕を挙げただけで周りの空気を変えてしまうような踊りを見て、居ても立っても居られず、スペイン留学への準備を始めました。

念願叶って訪れた初めてのスペインでは、観るもの聞くもの出会う人、全てが刺激的で、たった1ヶ月間とは思えないほど充実した日々を過ごしました。

踊ることで得た新しい恵み

金沢に戻った後も、沢山の人に出会えたおかげで、教室を開いたり、再度スペインで踊る機会を得たり、自身のスタジオを持てたりと新たな活動をする機会にも恵まれました。

多くの人に出会い、貴重な体験をする事で、人生が味わい深いものになりましたが、それは間違いなくフラメンコが私に与えてくれたもので、踊りという一面だけのものではないと思っています。
フラメンコはスペイン・アンダルシア地方の文化であるのにも関わらず、遠く離れた日本で続けてこられた環境に感謝しながら、これからも長く踊り続けていられたらと願っています。

フラメンコ舞踏家山本 純子